Gmail・Outlook の送信者要件(2025年〜)に対応する手順

要件は二段階に分かれています。自社がどちらに当たるかを先に決めると、やることは数個に絞れます。

最終更新: 2026-09-15

「急に Gmail に届かなくなった」の背景

長年問題なく送れていたメールが、ある日から Gmail 宛だけ迷惑メールに入る、あるいはエラーで戻ってくる。2024 年以降、この相談が増えました。送る側は何も変えていないのに、です。

変わったのは受信側です。Google は 2024 年からメール送信者のガイドラインを段階的に適用し、要件を満たさないメールを迷惑メール扱いや受信拒否の対象にしました。Microsoft も 2025 年 5 月から、Outlook.com 宛に大量送信する送信者に同様の要件を課しています(Microsoft の告知)。Yahoo と Apple(iCloud メール)も同じ方向の要件を公開しており、内容はほぼ共通です。送信者認証を設定していないドメインは、これらの受信側から見て「誰が送ったか確かめられないメール」になりました。

自社は「すべての送信者」か「大量送信者」か

Google のガイドラインは、要件を二段階に分けています。すべての送信者に求めるものと、Gmail の個人アカウント宛に 1 日 5,000 通以上を送る大量送信者に追加で求めるものです。Microsoft の要件も、1 日 5,000 通以上の送信者を対象としています。

ここで迷う人が多いのですが、判定は自社の総送信数ではなく、Gmail 宛の通数です。従業員数十人の会社が日常業務で送るメールは、まず 5,000 通には届きません。一方、メールマガジンや通知メールを配信サービスから送っている場合は、1 回の配信で超えることがあります。5,000 通に一度でも達すると大量送信者として扱われ、その後も扱いが変わらない点に注意してください。

すべての送信者に求められること

Google がすべての送信者に求めるのは、次の項目です。ドメインの DNS で確認できるのは最初の 3 つで、残りは送信サーバーの設定にあたります。

多くの中小企業では、Google Workspace や Microsoft 365 を使っていれば、SPF と DKIM の設定さえ済ませればこの段階は満たせます。逆に、自社サーバーやレンタルサーバーから送っている場合は、SPF に送信 IP が含まれているか、逆引きが設定されているかを、サーバー管理者に確認する必要があります。

大量送信者に追加で求められること

大量送信者には、上の項目に加えて次が必要です。

DMARC は p=none でよい、という点は見落とされがちです。要件はなりすましを止めることではなく、ドメイン所有者が DMARC を宣言していることです。ただし p=none のままでは自社を名乗るなりすましは止まらないので、要件を満たしたあとの次の課題になります。

アライメントは、配信サービスを使っている会社がつまずきやすい項目です。配信サービスの既定設定では、Return-Path や DKIM の署名ドメインがサービス側のドメインになっていることがあります。この場合、SPF と DKIM はサービスのドメインで合格しても、From の自社ドメインとは一致しません。対処は、配信サービスの「独自ドメイン認証」や「カスタム Return-Path」と呼ばれる設定を有効にして、署名ドメインと Return-Path を自社ドメインに揃えることです。

対応の順番

やることが見えたら、順番は次のとおりです。前の項目が済んでいないと、後の項目は判定できません。

  1. 送信元の棚卸し: 自社ドメインを From にしてメールを送っているシステムをすべて挙げます。メールサーバー、配信サービス、Web サイトのフォーム、会計や勤怠のクラウドサービス、複合機。抜けがあると、その送信元からのメールだけが不合格になります。
  2. SPF を 1 本にまとめる: 各送信元の include や IP を 1 つのレコードに書きます。SPF レコードはドメインに 1 つだけで、2 つあると無効になります。include が増えると DNS ルックアップの上限(10 回)に近づくので、チェッカーで回数を確認してください。
  3. DKIM を送信元ごとに設定する: 各サービスの管理画面で DKIM を有効にし、指示された TXT(または CNAME)レコードを DNS に追加します。鍵長は 2048 ビットを選びます。Google は 1024 ビット以上を必須としています。
  4. DMARC レコードを公開する: _dmarc.自社ドメインv=DMARC1; p=none; rua=mailto:レポート受信用アドレス を置きます。この時点で大量送信者の DMARC 要件は満たします。
  5. 自分宛に送って確認する: Gmail の自分のアドレスに送り、「メッセージのソースを表示」で Authentication-Results ヘッダを見ます。spf=pass、dkim=pass、dmarc=pass がそろっていれば、その送信元は要件を満たしています。送信元ごとに繰り返します。

DNS の設定はチェッカーで確かめられる

手順 2 から 4 の結果は、DMARC チェッカーにドメインを入れると確認できます。結果票の「送信者要件との照合」は、Gmail、Outlook、Yahoo、iCloud の要件を「すべての送信者」と「大量送信者」に分けて並べ、各項目の合否と理由を示します。DKIM はセレクタ名がわからないと外部から確認できないので、未確認になった場合は手順 5 のヘッダにある s= の値を「詳細設定」に入れて再診断してください。

冒頭の「急に届かなくなった」は、この手順で振り返ると、たいてい手順 1 で挙げ損ねた送信元か、手順 4 の DMARC が無いことに行き着きます。どちらも DNS に数行足せば直る問題です。